
【作品について】
『TATSUYA ART COMPETITION 2025』の出品作である「あめつちを結んで」。
「あめつち」は「天と地」を示し、地面から生えた草花がまさに天と地を結ばんとする姿を表現した作品となっています。
今回、タツコン2025のテーマが「道」ということで、どの様なイメージの作品にしようかと色々と思いを巡らせました。
そんな折にふと、植物の道管のことが頭に浮かび…
道管は根から吸い上げた水と無機塩類を植物全体に送り出す道としての役割がある器官なのですが、「道管」「導管」という二つの表記に分かれています。
少し調べてみると、「導管」は主に生態学、「道管」は特に生理学の分野において表記がなされるらしいのですが、同じ器官を指す言葉であるのに「道」と「導き」に分かれるというのは少し不思議な感覚に思えたのですよね。
何かを通す「道」でもあり何かを「導く」ものでもあり… 地面に根を張り、空へと伸びてゆく道管(茎)の姿がまるで小さな花々を天へと導く道の様に思えたのが、今作を描くきっかけとなりました。
考えてみれば、私という一人の人間もただ一本の道の上だけをひたすらに歩いている訳ではなく、無数に枝分かれしている細かな分岐点を日々選択しながら生活しています。自分の進む道を決めるのは他ならぬ自分自身であるのですが、進むべき道が分からなくなった時や苦しくなった時は脇道に逸れたり、道を照らす灯りや導きに頼るのも悪くないと思っているのです。それこそ植物の道管に導かれる水の様に…
話は少し変わり、今年はとりわけ「夜」を題材にした作品を多く描かせて頂きました。私としては朝や昼間の風景の作品も、夜をイメージにした作品も根底にあるものはそこまで違いはなく、同じ様に大切に思っているのですが作品をご覧頂く方々におかれては新鮮なイメージとして受け取って頂いた様で、非常に嬉しい思いです。
こうした風にただ一つのことを続ける(道を歩む)ことも創作における魅力の一つだと思っていますし、異なるイメージを描く(別の道に進む)ことも魅力だと考えていて…
一つの道に進んだからといって、別の道に進めないものでもなく複数の道を並行して進んだり、同じ道に戻ってみたりということもあったり。植物の葉脈の様に枝分かれに見える形であっても最終的にはひたむきに伸びる姿になれていれば良い、というのが私の創作活動における一つの思いです。
なので本作は、天に伸びる植物の様な姿を見習って生きていきたい、という自分自身の思いを重ね合わせながら描いたものになっています。
会期終了も間近ですが、是非最後まで緩やかに伸び行く草花(≒道)の姿をお楽しみ頂ければ幸いです。
岡本 博紀
作品詳細ページ↓
『TATSUYA ART COMPETITION 2025』
会期/ 2025年12月6日 (土) 〜 12月20日 (土) 会期中無休
時間/ 11:00〜18:00
開催場所/ GALLERY龍屋
〒488-0007 愛知県尾張旭市柏井町公園通542